図面チェックの時間は無駄か
当サイトのテーマである「見やすい図面」を作図する前に、まずは間違いが出来るだけ少ない図面を作図すること。
図面のプロには、まずそのスキルが求められます。
そうする為には、自分が作図した図面をしっかりとチェックして、必ず発生するミスを潰していく。
そんな地味な作業が必要になってくるけれど、これをやらないと、図面を見る相手にはそれが確実に伝わります。
このカテゴリで伝えたかったのは、簡単に言ってしまうと、たったこれだけになってしまう程シンプルなこと。
ただ、考え方がシンプルだからと言って、それを実行する事が簡単である訳ではありません。
そこが難しいところですね。
言うのも書くのも簡単だし、作図した図面の間違いチェックですから、何も技術的に難しいことをしている訳でもない。
だけど、それを毎回確実にこなしていくのは、不思議なことにかなり難しいことなんです。
今回はこのカテゴリのまとめとして、図面チェックをしっかりと行うのが何故難しいかを考えてみましょう。
図面をチェックしないリスク
図面を描くプロとして、出来るだけ間違いの少ない図面を描く為には、必ずチェックをすることが大事。
人間だからどうしても間違いはゼロにならないけれど、限りなくゼロに近づけることは可能です。
前回はそんな感じの、かなり説教くさい話をしてみました。
図面のプロであれば、ほとんど間違いがないというレベルを目指して仕事をするべきではないか。
今現在出来ていない私ですが、出来るだけそこに近づきたいと思いながら仕事をしています。
まあ現実は「チェックに時間をかけるようにします」で済むような、簡単な世界ではないですけど……
それでも、少しでも正確な図面を描く、という基本方針を持っているのは重要なことだと思います。
今回はもう少し続いて、なぜこんなにしつこく図面チェックについて書いているのか、という話をしてみます。
間違いはゼロにはならない
「綺麗で見やすい図面を描く」ということは、図面を作図するプロとして非常に大事なことです。
しかしそれ以前の問題として「作図する図面に記載間違いなどがないこと」が前提になってくる。
前回はそんな話を取り上げてみました。
見やすくて間違いのない図面が描ければ最高ですが、それが難しければ、少なくとも間違いのない図面を描くしかありません。
それが出来てはじめて、図面の見映えを気にするレベルになる訳ですから、その順番を間違えないように気をつけましょう。
いくら見やすくて綺麗な図面であっても、内容に間違いが1ヶ所でもあれば、それは役に立たない図面と呼ばれます。
そんな大げさな……と思う方もいるかも知れませんけど、数字がひとつ違うだけで伝わる情報が大きく違うのが図面です。
もちろんそれが単純ミスとすぐに分かる部分であれば、そのミスが問題になることは少ないでしょう。
でも、ミスだと気付きにくい部分で致命的な単純ミスをすると、後で大変な問題になる場合もあるんです。
たったひとつの数字なのに、という部分が図面の難しいところであり、恐ろしい部分でもある。
私は今までの経験から、その怖さをイヤという程実感しているので、本当にこれは気をつけた方が良いと思っています。
間違いを避ける為に出来ること
設計者など、情報を伝えたい側が相手にそれを伝える手段として、図面は存在します。
情報を出来るだけ効率の良いやり方で伝える。
そうした目的があるので、図面というのは、出来るだけ見やすい状態であることが求められます。
だからこそ、当サイトでは「見やすい図面」をテーマにして色々と解説をしていこうと考えている訳ですが……
情報を伝える役割を持っているという性質上、見やすいとかそういう話以前の問題もあるんです。
それが出来ていない限り、見やすさなど何の意味もない、というくらいの重要なポイントです。
前回と似たような書き出しになってしまいましたが、今回はそのあたりについてしつこく書いていきたいと思います。
図面は情報を伝達する手段
見やすい図面を描くコツ。
それは結局「こうしたらダメ」という不正解を、出来る限り避けていくことではないかと思います。
実際の図面を綺麗にまとめるのは、ここで文章を書くことよりも全然大変なことだと思います。
それは、私も実際に図面を描いて生計を立てている訳ですから、本当によく分かります。
苦労して作図した図面なのに「なんかよく分からないんだけど」とあっさりと言われたり。
そういう伝わらないもどかしさは何度も味わっています。
でも、図面を商品とするプロとして、現実的に出来ることをキッチリとやっていくしかないんです。
まあそこまで大げさな話でもなくて、プロならば自分の仕事を必死にやるのは当たり前のことですよね。
さて、今回は基本的な話の続きとして、見やすい図面以前に気を付けておきべきポイントについて書きます。
これが出来ていないと、いくら綺麗で見やすい図面を描いても、全く意味がないというくらい大事なことです。