設計者など、情報を伝えたい側が相手にそれを伝える手段として、図面は存在します。
情報を出来るだけ効率の良いやり方で伝える。
そうした目的があるので、図面というのは、出来るだけ見やすい状態であることが求められます。
だからこそ、当サイトでは「見やすい図面」をテーマにして色々と解説をしていこうと考えている訳ですが……
情報を伝える役割を持っているという性質上、見やすいとかそういう話以前の問題もあるんです。
それが出来ていない限り、見やすさなど何の意味もない、というくらいの重要なポイントです。
前回と似たような書き出しになってしまいましたが、今回はそのあたりについてしつこく書いていきたいと思います。
■見やすさよりも重要な要素
情報を伝達する手段である図面に「見やすさ」が求められるのは、ある意味当然のことだと思います。
見る側に誤解を与えないような表現を避けること、そして、読めないことによる情報の伝達モレを防ぐこと。
見やすくて綺麗な図面を作図することには、このような意味と効果があるんです。
せっかく図面を描いたのに、読めない字があって相手に情報が伝わらないとか、勘違いをされてしまうとか。
まあ実際には良くある話なんですけど、出来るだけそんなことにならないように、作図する側は気を遣わなければなりません。
しかし……
それよりもっと以前の話として、そもそもそこに書かれている情報は正確なのか? という問題があります。
間違ったことが書かれていたら、それがいくら綺麗で見やすく描かれていたとしても、全く無意味です。
それどころか、間違った情報であれば見やすいよりも、むしろ全然見えない状態の方が良いんじゃないか。
と、少し極端ですが、そんな意見もあります。
まあそれでは図面を作図する意味もなくなってしまうので、そこまでは考えませんが、間違いがNGだということは伝わったと思います。
■チェックの重要性
間違いが大きな影響を与える図面ですが、その図面を作図するのはどうしても人間ということになります。
機械であれば単純な間違いを犯すことはありませんけど、人間には誰にだってミスがあります。
つまり、人間が作図する図面には、どうしても間違いの可能性がついてまわることになる訳です。
自分が作図する図面は毎回完璧。
そう思っている人も中にはいると思いますけど、少なくとも私はそんな境地に達することが出来ません。
まあそんな気持ちにならなくても良いと思います。
だって、そんな境地に達することが出来たところで、図面の間違いやミスがゼロになる訳じゃないですから。
どうしたって人間には間違いがあるし、それをゼロにすることは現実的に不可能に近い。
だけど、情報を伝達する手段として、間違った情報が図面に記載されないようにしなければならない。
それが事実だとしたら、どうすれば良いんでしょうか。
その答えは割とシンプルで、出来るだけ間違いが発生しないように、最大限の努力をするしかない、というものです。
間違いが発生しないようにするというのは、つまり、自分が作図した図面をきちんとチェックする、ということ。
この「自分が描いた図面をチェックすること」は、図面を作図するプロが最低限やらなければならないこと。
いくら仕事が速いとしても、しっかりとしたチェックが出来ない人はプロとは呼べない。
少なくとも私はそう考えています。