縮尺を変えるという選択肢
寸法の配置によって図面の見やすさが変わってくる、という話を色々としてきましたが、今回で最後にします。
寸法は図面を構成する非常に重要な要素ですから、配置する際に工夫出来ることは結構あります。
逆に言うと、あまり何も考えず適当に配置をすると、見やすい図面にはならないとも言えます。
寸法の記入間違いは問題外ですが、紛らわしい表記による勘違いもよくある失敗のひとつ。
図面の描き方ひとつでそうした勘違いがなくせるのなら、それを目指して工夫をするしかないですよね。
工夫の中で、テクニック的な話は覚えておいて、実際に図面を描く際にやってみるしかありません。
そうして実際に自分でやってみることで、大変な部分は少し省略したりして、自分なりのやり方が出来上がっていきます。
図面の知識が必要な部分については、これも当然の事ですが、その知識を身につけていくしかありません。
こうした話には、ちょっとした「コツ」はあっても、何も考えなくても済むような裏技はないと思います。
なので、ゆっくりでも構わないので、テクニックと知識を少しずつ増やしていくことをお勧めします。
必要な寸法の把握も重要
直列寸法を記入する際に、最初に記入した寸法から折り返し記入をすると、CADによっては寸法線が重なることがあります。
これは作図する側が気を付けてさえいれば、恐らく発生することのない問題だとは思います。
でも、実際に起こる可能性はゼロではないし、私も何度かその寸法で痛い目に遭っているという現実もあります。
一度こうやって寸法記入されてしまうと、図面を見直した時に間違いを発見しにくいという問題があります。
寸法線が重なっている意外には、紙に印刷して見ても、特におかしなところはありませんから。
寸法の合計を計算してチェックするとか、そういうやり方をすれば発見は出来ますけど、手間が凄いです。
なので、作図をする側としては、こうした間違いが発生しにくい作図の方法を選ぶしかないと思います。
寸法線の記入についてはこのあたりで終わりで、最後に記入方法以外の注意点を描いておくことにします。
寸法線が重なる状況とは
見やすい図面を描く為には、寸法補助線をどこまで伸ばすのか、という部分に気を使う必要があります。
また、寸法記入の対象にべったりと付けてしまうと、図面要素と寸法補助線の区別がしにくいので、出来れば避けた方が良い。
前回はそんな話をしてみました。
これらの作図方法はCADスキルに依存しないやり方なので、作図する際には気に掛けておくことをお勧めします。
このあたりに気を使っているかどうかで、図面の完成度と見やすさは結構変わってくるもの。
もちろん寸法線の配置に苦しむことはありますけど、そこに気を付けながら作図する効果はきっとあると思います。
寸法線についての話が結構長くなって来ましたが、あと少しで寸法線関連の話は終わるはずです。
今回はCADで作図している時だけに起こる、独特の寸法記入ミスについて考えてみる事にします。
押さえ位置と寸法補助線の離れ
前回は寸法補助線の使い方というか、寸法線をどこに配置するのが良いのか、という点について考えてみました。
あまり遠くに配置しないようにするだけで、図面は何となく締まった感じに見えてくるものです。
まあ実際図面を描く仕事をしていると、そんな原則が通用しないシーンがたくさんある訳ですが。
そうした原則が通用しにくい状況で、どのように図面をまとめていくのか、というのが腕の見せ所だと言えます。
と、そういう次元の話をする前に、まずは「こういう寸法の配置はNG」という原則を知っておく必要があります。
その先の話は基本を一通り覚えた後でも充分なので、まずはやってはいけないパターンを一通り覚えてしまいましょう。
今回は寸法補助線の記入方法の最後ということで、寸法記入の対象と寸法補助線の関係について考えてみましょう。
寸法補助線をどこまで伸ばすか
図面内に寸法を記入するのは、「ここの距離がいくつなのか」を説明したい部分があるから。
どこを指しているのかを分かりやすくする、という目的があって、寸法補助線が存在する訳です。
しかし寸法線と寸法補助線を交差させると、どこの寸法を示しているのかが非常に分かりにくくなります。
寸法線の前後関係をよく考えて調整をすれば、そうした状況はほとんどゼロにすることが可能です。
そしてこのお約束は、CADのスキルなど関係なく実行出来ることですから、図面を描く際には注意してみることをお勧めします。
このあたりに気を使って作図をするだけで、図面は相当見やすい状態になっているはずですから、やって損はないと思いますよ。
寸法補助線の扱いは結構重要なので、今回も引き続き寸法補助線の表現方法について考えてみましょう。