間違いの責任について考える
CADには、一度作図した要素をコピーするという機能があって、使い方によっては非常に便利です。
この便利さは、一度CADを使って図面を描くことに慣れたあとで、手描きを少しやってみると良く分かります。
実際は、真剣に手描きで図面を描く機会はそれほど多くないので、あまりそれを痛感することは多くないですが。
私の場合は建築士試験の製図で手描きをやる機会があって、CADの便利さを思い知る事になりました。
もちろんそこには「慣れ」もあるんですけど、同じ形状の図形を何度も自分で描くのはやっぱり大変。
普段当たり前に使っているコピー機能が、どれだけ有り難い存在なのかを知る良い機会になりました。
ただし、確かにコピー機能は便利なんですけど、そうした便利さだけに注目をすると、大事なことが見えなくなります。
コピー機能の便利さだけではなく、コピー出来るということの危険性も知っておく、というのが大事なんです。
ということで今回は、CADで図面を描く際に気を付けるべきポイントについて書いてみたいと思います。
CADならではの間違いもある
手描きでもCADでも、最初に作図した状態というのは、単純な間違いがある可能性が高い状態です。
どんなに気をつけても間違いというのはゼロにすることは出来ないので、少なくとも作図をしたら自分でチェックをする。
そんな習慣を身に着けたいものです。
きちんとチェックをしても、完成した図面の中には間違いが1~2箇所程度あるかも知れません。
でも、完成図をチェックをしない状態だと、間違いの箇所数がかなり多くなってしまうことになります。
これは当然、図面を見る側にも伝わることになります。
この図面はチェックをしないで送ってきたな、とか、そういうのは図面の雰囲気と間違いの数ですぐに分かるんです。
そうなると、この人は図面をチェックしない人だから、大事な図面を任せることは出来ないな、と思われてしまいます。
こうして自らの手で自分の信用度を落としてしまうことになるので、作図した図面は必ずチェックをすることをオススメします。
完成した図面のチェックをする意味
CADは図面を描く為の非常に便利なツールですが、最終的な成果品はあくまでも紙に印刷した図面です。
パソコンとCADを使ってある程度はデジタルになりましたが、図面の世界はまだアナログが多いんですよね。
ペーパーレスの時代はまだ先のような気が、個人的にはしています。
もう少し技術が進歩すれば、紙は完全に無くなって、タブレット型端末で図面を見るようになるかも……
そんな可能性もありますけど、そこに至るまでにはまだクリアするべき壁が幾つかある状態です。
なので、しばらくの間は紙に印刷した図面を見る、というスタイルが図面の一般的な使い方になると思います。
CADで作図をする場合、画面上では読むことが出来る文字や数字も、紙に印刷したら読みにくい場合がある。
この問題点は前回取り上げて、作図をする側が気を付けなければいけない部分であると紹介しました。
これは、CADの画面だけを見ている人にありがちな失敗で、図面を見る側としてはかなり困ることなんです。
自分が書いている図面が最終的にはどういう状態になるのか、という部分を意識して図面を描いていく。
CADを使って図面を作図する側には、そんな想像力が求められる訳です。
CADの画面では見えるけど……
CADを使うと見やすい図面は描けないのか? というテーマで色々と思うことを書いてきましたが……
私はCADをかなり愛用しているので、どうしてもCAD寄りの意見になってしまっていると思います。
これはある程度仕方がないことだと思ってます。
でも私は、CADが本当に便利なツールだと思いながら使っていて、思ってもいないことを書いている訳ではありません。
この便利さとある程度の注意点を、これを読んでいる方にぜひ知ってもらえればという気持ちで書いています。
ただ、ここで私がいくらCADを褒めても、逆にCADなんてダメと書いたとしても、別に何も変わらないんですよね。
いくらなんでも急にCADから手描きに戻るとか、そんな可能性は絶対にゼロですから。
どうせCADを使わなければならないのなら、出来るだけ効率良く、かつ成果が出るように使いたいもの。
その為に出来ることは結構あると思います。
今回は、そんなCADを使って図面を描く際に、CADだから気をつけておきたい部分は何か、というあたりを考えてみましょう。
CADを使いこなした先にあるもの
ツールをしっかりと使いこなすことが出来て、作図する人にきちんとした知識があれば良い図面を描くことは可能です。
たとえ作図の為のツールがCADであっても、手描きであっても、その条件は変わることはありません。
前回はそんな話をしました。
当サイトのテーマはCADで見やすい図面を描くためのコツ、というあたりなので、まあ当然そんな結論にはなるんですが。
今まで結構な数の人から「やっぱり手描きの時代に比べて図面の質が落ちた」というニュアンスの言葉を聞いて来ました。
でもそれは単純にCADが悪いのではなく、CADを使う側に問題があるのだと私は思っています。
そういうことを言われない為にも、プロであれば出来るだけツールを自由自在に使いこなせた方が良い。
そんな理屈になる訳です。
今回は、CADというツールを使ってクオリティの高い図面を描く、というあたりの話をもう少し考えてみます。