図面の完成度と時間のバランス
図面を作図する側として、図面を見る側の気持ちを理解しておくのは非常に大事なことです。
作図をする側にとって、図面を見る側の人はある意味「お客さん」に近い存在と言っても良いんじゃないかと思います。
実際に図面作成の対価を支払うのは、依頼した会社になる訳ですから、厳密に言えば少し違うんですけど。
それでもお客さんに最も近い存在です。
お客さんのニーズを掴んで、ニーズに合った商品を提供することは、ビジネス成功の鉄則。
そういう意味では、図面を見る側がどんなことを考えているのかを探るのは、決して無駄な事ではないと思います。
あまりにも相手のことを考えすぎてしまうのも、それはそれで問題アリなんですけど……
まあバランスが大事ということで、今回は図面を見る側について簡単にまとめてみたいと思います。
見る側にもある程度のスキルを
見やすい図面を描くことはプロの仕事だけれど、そうして完成した図面を使う側もプロであるべき。
前回取り上げたのはそんな話でしたが、図面を見る側のスキルにも結構ばらつきがあるものです。
だから、同じレベルの図面を描いたとしても、図面を使う側のスキルによってその評価は変わってしまいます。
スキルが高い人が使う場合には、多少見づらい部分があっても、きちんとそれを読みとってくれます。
でも逆に、スキルが低い人が使う場合には、ちょっと複雑な部分になるとすぐに読みとれなくなってしまう。
そうなると「図面が見づらい」という話になることもあって、なかなか厳しい状況になることもあります。
まあこういう人による違いがあるからこそ、仕事というのは面白いものなのだとは思いますが……
仕事のトラブルが発生している最中には、とてもじゃないけどそんな優等生みたいなことは言えないですよね。
図面を見る側もプロだから
実際に図面を見て仕事をする側の人間が図面に求めるレベルは、作図する側が思っている以上に高いです。
もちろん作図をする側も、「図面を見る側は真剣だから厳しい」という話を頭では分かっているんです。
でも、自分でなかなか図面を見て仕事をする機会がないと、どうしてもその雰囲気が掴めなかったりします。
あと少し、これを描いてくれれば凄く助かるのに……という感情は、作図する側にはなかなか持てないもの。
そうした「あと少しの気配り」は、作図をする側にとっては「完成前の余計な手間」だったりするんです。
このギャップはなかなか大きいですから、それを埋める為に少しでも見る側の気持ちを知っておいた方が良いです。
というような話を前回までにしてきました。
少しでも見やすい図面、という目標は確かに難しくて、あまり現実的ではない場合すらありますが。
理想を求めて出来るだけ頑張るというのがプロのスタンスですから、まあ出来る限りの手は尽くしたいものです。
とは言え、もちろん限度もある訳で……ということで、本当に図面を見る全員に分かるように描くべきなのか。
今回はそのあたりを考えてみたいと思います。
正確で見やすい図面を描く
前回は、実際に図面を見て仕事をする側が、図面に対してどんな感覚でいるのかを簡単に挙げてみました。
・数字は基本的に全て読めて欲しい(読めて当然)
・知りたい寸法は一発で押さえて欲しい
・正確に描いてあるのが当たり前(間違いは問題外)
・狭くて寸法が入らないなら拡大して記入すればいい
まあ色々と箇条書きにしましたけど、言っていることは非常にシンプルなことですよね。
正確で見やすい図面を望む、と。
シンプルな言葉で語れれる事を実行するのは、言葉で言うよりも非常に大変なことであることが多い。
今回の場合もそうで、「正確で見やすい図面を描く」というのは簡単ですが、実行は果てしなく難しいです。
でも、仕事で使う図面を描くわけですから、難しいから出来ませんなんてことは言えません。
不可能な事は不可能でも良いんですけど、プロとして出来る限りのことはやっておきたい。
少なくとも私はそう思っています。
図面を見る側が思うこと
どうせ同じ手間をかけて図面を描くのなら、出来るだけ見やすい図面の方が良いんじゃないか。
そういう思いがあるので、今まで「見やすい図面の書き方」について色々と書いてきました。
私も今現在、完璧な図面を毎回描いている訳ではないので、あまり偉そうなことは言えないんですけどね。
でも、完璧じゃない人なら解説出来ないのなら、多分解説出来る人なんて誰もいないと思います。
これは図面の世界だけじゃなくて、スポーツでも何でも一緒だと思うので、私が書ける範囲で説明をしていくつもりです。
現状に満足しないで努力や工夫を継続した人だけが、次のレベルというかステップに進むことが出来る。
ちょっとゲームみたいな表現になってしまいましたが、これは恐らく事実だと思います。
現状に満足してしまった人の進歩はそこで終わり、あとはそのレベルでやっていくしかない……
と、これは自分自身に言ってみました。