見やすい図面を描くことはプロの仕事だけれど、そうして完成した図面を使う側もプロであるべき。
前回取り上げたのはそんな話でしたが、図面を見る側のスキルにも結構ばらつきがあるものです。
だから、同じレベルの図面を描いたとしても、図面を使う側のスキルによってその評価は変わってしまいます。
スキルが高い人が使う場合には、多少見づらい部分があっても、きちんとそれを読みとってくれます。
でも逆に、スキルが低い人が使う場合には、ちょっと複雑な部分になるとすぐに読みとれなくなってしまう。
そうなると「図面が見づらい」という話になることもあって、なかなか厳しい状況になることもあります。
まあこういう人による違いがあるからこそ、仕事というのは面白いものなのだとは思いますが……
仕事のトラブルが発生している最中には、とてもじゃないけどそんな優等生みたいなことは言えないですよね。
■見る側のスキル
図面を見る側のスキルによって、作図した図面が見やすいかそうじゃないかの評価が変わる場合がある。
これは図面を作図する側からすれば、ちょっと勘弁して欲しいよな……という状況ですよね。
でも、きっと図面を見る側も似たような事を思っているはず。
図面って作図する人のスキルによって、全然見やすさが違ってくるんだよな……ということを。
まあある程度はお互い様ということで、妥協とかをしつつ仕事をこなしていくしかない訳ですが……
全くその分野のスキルがない人が見ても分かる図面、というのは少なくとも不可能です。
この事実だけはもう一度書いておきたい。
当サイトでは見やすい図面を描く為の情報を発信していますが、そこまで分かりやすく描く必要はないと思っています。
もちろん時間と手間を掛ければどんな図面でも描けるんですけど、ビジネスという点から考えるとそれではダメなんですよね。
■プロを対象にして
なので、当サイトで書いている「見やすい図面」は、平均的なスキルを持ったプロが見て、ということを意味しています。
この「平均的な」という表現も微妙な感じですけど、少なくとも全く知識がない人は対象になりません。
確かに見る側に親切に作図をするのは大事なことですけど、そこまで親切にすることは物理的に出来ません。
例えば建築の図面を描いていると、部材の名前などが出てきますけど、それをどこまで詳しく書くのか。
建築のプロならば、「GB-S12.5」という表現で、どんなモノなのかしっかり伝わります。
でも建築のプロではない相手であれば、「耐水石膏ボード12.5厚」みたいな表現が必要になるかも知れません。
でもスペース的な問題で、そこまで厳密な表現は出来ないし、そこまでする意味もあまりない。
それなのに、「GB-S12.5じゃ何のことだか分からない」と言われても、やっぱり困ってしまうんです。
まあこれはかなり極端な例ですけど……
見やすい図面というのは平均的な知識を持っている人を対象に、というのはそういう意味があるんです。