先の太さによる違いを確認する

見やすい図面の条件のひとつ、メリハリの効いた図面にする為にはどうすれば良いのか。

前回はそんなテーマで色々と書いてみました。

印刷する際に線の太さを使い分けることで、目立たせたい線と目立たせたくない線を区別していく。

そうすることによって、図面を見る側が「この線は何を表しているのか」をすぐに判断することが出来ます。

逆に、すべての線が同じような見え方になっていると、壁なのか寸法なのかが非常に分かりにくいです。

もちろん線の太さが原因で、全く判別が出来ない図面になってしまう訳ではありませんが……

少なくとも、その線が何かを判別をする際に、毎回少しだけ手間がかかることになるんじゃないかと思います。

見やすい図面というのは、見る側に間違えた認識を与えない図面という表現も出来るはずです。

そういう面から考えれば、線の太さを調整して見やすい図面を描くことは、作図する側の重要な役割だと言えるでしょう。

と、こうして何回も言葉で書いてもこれ以上は伝わらないですから、今回は少し具体的な図面を例に出してみたいと思います。


■図面のサイズについて

私は建築関連の仕事をしている者ですから、例を出そうとすると、やっぱり建築の平面図を思い浮かべてしまいます。

もっと多彩な図面で例を出したいところなんですけど、色々なな分野の図面に詳しくなるのは難しいんです。

プロに求められるのは広く浅い知識ではなく、狭くても良いけれど、どこまでも深い知識ですから。

ということで、まずは例に出せるような簡単な平面図を、想像で作図してみる事にしましょう。

実際に関わった物件の平面図などを載せてしまうと、著作権の問題があって後でマズイ事になってしまいます。

そういう事情があって、適当な架空の建物としています。

平面プランが今ひとつなのは、単純に私のプランニングが最低なだけで、時間的にはこれが限界でした。

階段はないのかとか、こんな小規模な建物に守衛室なんてあるわけないとか、そういうツッコミは色々あるでしょう。

だけど今回の主旨はそこではないので、あまり気にしないで線の太さだけに注目してみてください。

サンプルの図面はA4サイズで1/50の図面としました。

A1サイズの図面を作図しても、結局一般家庭では縮小して印刷するしかなくなるので、あまり意味がないと考えました。

縮小なしでA4に印刷出来る図面、という条件で建物の大きさも決めたので、建物としては結構苦しい感じです。

■図面のサンプル

まずは線の太さをきちんと調整した図面から。

線の太さを調整した図面

上記の画像ではあまり伝わらないかも知れないので、今回はPDFデータも用意してみました。

太さ調整したPDF

これをプリンターで印刷してみれば、ある程度は線の太さが伝わるんじゃないかと思います。

次に、線の太さを全部中線で設定した図面です。

全部太線で印刷した場合

PDFデータはこちらから。

全部太線のPDF

先ほどの太さを調整した図面と比べてみて頂ければ、全体的にのっぺりとした図面になっているのが分かると思います。

ただ、これはプリンターの性能というか仕様によって、どうしても微妙な違いが出てしまう部分でもあります。

もし上記のPDFを印刷する場合には、印刷するプリンター側の設定を確認して、出来れば調整してみることをお勧めします。

印刷品質に「CAD」みたいな設定があれば、それは細い線を綺麗に印刷してくれる設定になっているはず。

これで違いが伝わってくれれば良いんですけど……