A2サイズだと複合機で印刷できない

A1サイズの図面をA3サイズに縮小すると、キリが良く50%の倍率で印刷されることになります。

そうすると、縮尺1/50の図面が1/100になり、縮小しても寸法を三角スケールで当たれます。

重さとか取り扱いの手軽さ以外にも、A3版の縮小図面にはそうしたメリットがあるんです。

CAD全盛期の今、図面に三角スケールを当てて距離を測るという行為を本当にするのかどうか……・

これは正直言ってちょっと微妙なところではあります。

でも、紙に印刷された図面というのは正式な書類であり、きちんとした縮尺になっているのが普通です。

CADが普及した今でもその考え方は消えていないので、やはり縮尺が合せられるA3版サイズは重宝します。

ちなみにこれは参考ですが、A1版をA2版に縮小した場合にはどうなるか、という話を今回は取り上げてみます。


■A2に縮小した場合

A1版をA2版に縮小する訳ですから、面積は0.5倍です。

面積はヨコ×タテですから、ヨコとタテの長さをそれぞれ同じ倍率で小さくして、面積が0.5倍になればOK。

自分で書いていても分かりにくい文章ですね。

例えばタテ・ヨコそれぞれを0.5倍した場合には、0.5×0.5=0.25なので、面積は1/4となります。

A1サイズの1/4はA3なので、縮尺0.5倍でA1版からA3版への縮小になる、ということが分かります。

ではA2版の場合はどうなるかというと、ヨコ×タテ=0.5となる為の倍率になる訳です。

つまりは√0.5ということになって、倍率は大体0.7倍程度ということが分かります。

ヨコもタテも0.7倍にすると、0.7×0.7=0.49なので、まずまずいい具合に印刷することが出来ます。

まあこんな面倒な考え方をしなくても、A1のヨコが841mmでA2のヨコが594mmなので、それで簡単に倍率が出ます。

594 / 841 = 0.706

大体70%ですね。

■縮尺とスピードと

A1版をA2版に縮小した場合には、だいたい70%の縮小率で印刷をすることになります。

これが、例えば縮尺1/10の図面だったらどうなるかというと、また面倒な計算をするとこんな感じです。

1/10の図面 = 0.1倍に縮小した図面

その0.7倍だから、0.07倍に縮小した図面

つまり 0.07/1 の図面 = 縮尺 1/14.3 の図面

要するに全然中途半端な縮尺になる、ということを書きたかっただけなんですけど、やたら長くなってしまいました。

A1版をA2版に縮小した図面というのは、大きさもやや中途半端で、なおかつ縮尺がきちんと合わない状態になります。

A3版より若干文字が大きく印刷されるので、見やすさとしてはA2版の方が上だとは思います。

でも、縮尺が合わなくなるという致命的な欠点があるので、個人的にはあまりお勧め出来ない用紙サイズです。

しかもA2版は結局複合機で印刷できない為、プロッタで印刷をすることになります。

これも結構痛いところ。

なぜかというと、複合機はレーザープリンタだから短時間で印刷することが出来ますが、プロッタにはそれが出来ないから。

プロッタは基本インクジェットですから、ヘッドを動かして印刷をすることになります。

そうすると、どうしても印刷には時間がかかってしまうんです。

まあそれでも昔に比べれば非常に早くなりましたけど、スピードは複合機には全然敵いません。

どうせプロッタで印刷をするのなら、別に縮小しないでA1版で印刷すれば良いじゃないか、という話もありますし。

そうした色々を考えると、あまりA2版への縮小は良くないかな、という話になってしまいます。

一言で表現すると「何もかも中途半端」なんです。

用紙サイズについての話はこれで終わりにして、図面の表現方法についての話に進みたいと思います。