経験年数とスキルの関係は複雑になって

CADを覚えるためには、まず自分の手を動かして実際に操作をしてみることが大事です。

ちょっと当たり前過ぎる話ではありますが、前回はそんな基本的な内容の話をしてみました。

書店に行って調べてみると様々なCADの解説本などが並んでいて、大抵の本には「出来る」みたいな言葉が書かれていると思います。

しかしそうした本を読んだだけでは使えるようにはならず、読みながら実際に使ってみる必要があるんです。

解説本を読むことで知識を増やすことは出来ますけど、それは単純に知識の量がやや増えただけの話。

もちろん知識も必要であることは間違いありませんが、経験を伴わない知識では仕事で役に立てることは難しい。

そう言うことです。

だからこそ、自分の手を動かしていき、自分がぶつかった疑問を解決していく過程が必要になるんです。

自分でやってみて分からない部分に疑問を抱き、それを調べたり教わったりして解決していく、という過程。

そうした過程を今まで何度繰り返してきたか、というのが、その人のCAD経験になっていく訳です。

まあこれはどんな事でも一緒で、失敗を繰り返しながら覚えていく訳ですから、特に変わった話ではないと思います。


■濃い経験を積むという意味

自分でCADを使ってみて、その中で出てきた疑問を何とか解決していくという過程を経験と呼びます。

そのCADを使っている経験年数ではなく、そうした疑問の解決をどれくらいやってきたかの方が重要なんです。

もちろんそのCADを長い期間使っていれば、そうした過程をたくさん経験出来る可能性が高いです。

そういう意味では、そのCADを使っている期間が長いほうが有利だということも事実だとは思います。

でも、ただ何となくCADを使っている人には「ここはどうすれば良いんだろう」みたいな疑問を持つことが出来ません。

その状態では当然疑問に対する解決策を調べることなで出来ないので、昨日と同じ作業を繰り返すだけになってしまいます。

そうなると、単純に使っている期間が長くなっていくだけで、経験を積んでスキルアップという話にはなっていきません。

そのCADをどれだけの期間使っているのかよりも、今までどれだけ濃い経験を積んできたのかの方が大事、ということです。

■楽な仕事では進歩しない

経験には質があるというのは当たり前の話なんですけど、これを逆に考えると、ちょっと怖い話になります。

ずっと同じCADを使って仕事をしていたとしても、きちんと意識を持たないで仕事をしていると無駄な経験を積んでしまう。

これはプロとしてかなり怖いことです。

まあ完全に無駄とは言えないとは思いますが、少なくともCADに関するスキルはほとんど変わらない状態になる訳です。

それ以上成長しない状態でずっと同じ仕事をしていると、周囲が成長している分だけ自分が衰えて見られる可能性があります。

ある程度仕事が出来るようになったあたりの状態だと、仕事の流れもCADも分かって仕事が楽になるもの。

だけど楽な仕事をこなすだけではそれ以上成長しない。

そうなると、あいつは経験が長い割にはそれほど仕事が出来ないな……みたいな状態になる場合が多いです。

これはプロとして避けなければならない状況なので、毎日自分の知識と経験を高めるように意識をすることをオススメします。