前回は、図面を書く方法として考えられる、CADと手描きの違いは何かを考えてみました。
自分の手を使って直接線を引くのか、マウスやキーボードを使って間接的に作図をするのか。
この違いによって操作感は大きく違ってしまいます。
なので、手描きと同じクオリティの図面を描く為には、相当なCADへの熟練が必要じゃないか。
そんな内容の話でした。
また手描きとCADの違いとして、手描きは自由な曲線を書くことが出来ますが、CADでは結構難しいという話もしました。
そのフリーハンド的な線が、完成図面の雰囲気に与える影響は結構大きなものがあります。
その雰囲気の違いと、完成した図面の見やすさやクオリティの違いは、実際に関係があるのか。
今回はそのあたりについて考えてみたいと思います。
■手描きで必要なスキル
手描きの図面というのは、作図をする人のスキルが本当に分かりやすく図面に表れて来ます。
自分の手で図面を描く為には、均等な太さの線を引いたり、綺麗で読みやすい文字をまっすぐに記入する必要があります。
それにはどうしても特殊なスキルが必要になるんです。
これは実際に自分で真剣にやってみると、思ったよりも出来ないことが良く分かると思います。
そうしたスキルがないと図面はキッチリとまとまって来ない、というくらいにそのスキルは重要な要素になります。
手描きで図面を描いた事がない方は、恐らく最後まで図面をまとめきることすら出来ないと思います。
ちょっと大げさな感じがしてしまうくらい、手描きには作図する本人のスキルが重要になってくる訳です。
だから、手描きで図面を描いている人は皆、当たり前のようにそうしたスキルを持っているんです。
■CADは知識だけでOK
一方でCADですが、CADを使いこなす為に必要なのは、どんな機能があるのかを知ることが最初。
そして、その機能を効率よく実行する為の手順を考えて、無駄を少しずつ減らしていくことが重要になってきます。
これはこれで非常に重要なテクニックなので、見やすい図面とは関係ない訳では全然ありません。
ただ、ここまでの話はあくまでもソフトの使い方という話であって、図面を描く為のスキルではない。
この違いがある訳です。
その代わりにCADでは誰でも真っ直ぐな線を引くことが出来るし、綺麗な文字を記入することも出来ます。
この「誰でも」というのがCADの優れたところであり、ちょっと困ってしまうところでもあるんです。
CADの機能を覚えて操作することさえ出来れば、誰だって綺麗な線を引くことが出来る。
これはとても良いことなんですけど、それがそのまま図面を描くスキルと結びつくかというと、そうじゃないんです。
CADの場合は、線を引くことが出来るというのは、言い方は悪いですけど単にコマンドを知っているかどうかだけの話です。
コマンドを知っているからクオリティの高い図面が描けるのかというと、やっぱりそれは違うんですよね。
これは結構勘違いしやすいし、勘違いされやすい部分なんですけど。
全然上手く説明が出来ていませんが……では、CADを使うとクオリティの高い図面は描けないのか。
次回はそのあたりについて考えてみたいと思います。