図面の中に寸法を記入するのは、対象の大きさを説明することと、位置を説明するという目的があります。
対象の位置を説明する寸法は大抵、基準となる線からどの程度離れているのか、という描き方をします。
そして、基準となる線は一点鎖線で作図するのが図面の基本的なルールになっています。
一点鎖線というのはこんな線です。
こういう線が引いてあれば、図面を見る側はすぐに基準ラインだと分かるので、線の種類というのは大事なものなんです。
そうした線種が、寸法記入によって実線になってしまわないように気をつけましょう、というあたりで前回は話が終わりました。
今回はその具体的な例を挙げて、CADでの描き方によって見映えがどの程度変わるかを見てみましょう。
■壁芯の消失状態
まずはサンプルとして、部分的な図面になりますが、以下のような図面があったとします。
この図面を見ると、Y1通りからY2通りに向かって2980のところに壁芯があることが分かります。
そのまんまですが、壁芯は壁の中心を表しているだけの線で、そこに実際に何かが見えている訳ではありません。
だから、基準の線という意味で一点鎖線で壁芯が表現されている訳です。
一方で、寸法補助線の線種は基本的に実線になっていますから、寸法記入のやり方を間違えるとこんな状態になってしまいます。
白黒ではちょっと伝わりにくいと思ったので、あえて該当する寸法だけ赤で表現してみました。
こんな描き方をしてしまったら、せっかく壁芯として一点鎖線を記入しても、寸法補助線に上書きされて全然意味なしですよね。
さりげなくY1通りの大半も実線で上書きしています。
■寸法補助線の扱い
こうした残念な図面を描いてしまわない為にも、以下の書く基本的なルールはぜひ守りたいところです。
・寸法補助線は壁芯や通り芯などの基準線と重ねない
図面内で表現する線種にはそれぞれ意味がある、ということを理解していれば自然とそういう描き方をするとは思いますが……
私は今までの仕事で、実際に寸法補助線が伸びすぎて壁芯を潰している図面を結構な数見てきています。
なので、出来ればこの基本は守って欲しいという願いも込めつつ、今回の説明をさせてもらいました。
寸法補助線を一点鎖線にすれば解決するのでは?
と思う方もいるかも知れませんが、重なった線同士で線上にあるブランクの位置がぴったりと合わないことの方が多いです。
今回も試してみたらこんな感じになりました。
そこまでやるのなら、寸法記入の際にピックする点の位置に気を使う方が楽じゃないかと思います。