1が重なってる状況

図面内に文字を配置する際に、ちょっと気をつけるだけで図面が見やすくなることは結構あります。

これは逆の話もあって、ちょっとした記入位置によって、図面が非常に見づらくなってしまう場合もあります。

そのあたりのコツというか注意点を知っているかどうかで、完成した図面のクオリティがかなり違ってくる。

そんなテーマで書き始めたのに、どういう訳か「仕事に対するスタンス」みたいな話ばっかりです。

こういう話が役に立たない訳ではなくて、むしろテクニックよりも大事なことではあるんですが……

それもある程度のスキルがあってこその話で、気持ちの持ちようだけでは仕事をすることは出来ません。

まあ色々と書いてきたのは私なんですけど。

今回からはもう少し具体的な話として、図面内に文字を記入する際の注意点を色々と書いていくことにします。


■1の重なりに注意

図面の種類によって少し違ってくるとは思いますが、寸法線も含めて図面内には数字がたくさん記入されます。

その時にちょっと気をつけたいのが、数字の「1」をどこに配置するのか、という話。

そんなことは当たり前……という話ですけど、「1」は縦1本の線で表現される数字です。

水平線とと垂直の線が多い図面の中で、数字の「1」は非常に重なりやすい形状になっています。

細かい話だと自分でも思うんですけど、数字の重なりに気を配らないと、結局読めない図面になってしまうんです。

こんな感じで。

 

1が重なってる状況

 

この図面では、数字が重なっている状況を説明したいが為に、わざと壁芯と「1」を重ねてます。

だから普通はこんな配置にしないだろうという話もありますが、図面を描いていると結構あるんですよね。

 

■読めない以上に悪い状況

この図面では寸法値の1が壁芯に重なっている為、本当は「150」である数値の1が読みづらくなっています。

この状況の何が一番ダメなのかというと、数字が重なってしまい読みづらい部分があることではありません。

そうではなく、重なっているかの判断が出来ない為、図面を見る側に違う数値と認識させてしまう部分がダメなんです。

今回の例で言えば、本来は「150」という数値なのに、重なっているせいで「50」に見えてしまう訳です。

完全に重なっている状態で読みづらいというのもマズイですけど、読めない訳ですから情報は相手に伝わりません。

でも、中途半端に読める状態になっていると、伝わる情報の量も中途半端になってしまうんです。

要するにこの状況は、完全に読めないよりも最悪の状態ということです。

間違っている情報が図面に記載されていることで、その図面を見る人は特に疑問を持たずに「50」と認識します。

図面を見ていくと、壁芯から壁面までが58.5ですから、建具枠まで50というのは非現実的な数値ということが分かります。

でもそれは、図面をしっかりと見ないと分からないこと。

当サイトでは、見やすい図面を描くことを主旨にしています。

そういう主旨から考えると、パッと見で間違えを認識させる図面は読めないよりも悪い状況ということになります。

そんな偶然はそうそうない。

と思われるかも知れませんが、実際にやってみると、こうした状況は結構出てくるので注意が必要です。