図面は結構雄弁に語る

見やすい図面を描くために、文字の記入をどのように考えておけばいいのか、という話を前回はしました。

非常にノーマルというか、初歩的すぎる話ですから、そんな事は当たり前だろうと思う方もいると思います。

私も基本的にはその意見に賛成したいところです。

しかし、私が今まで仕事で色々と図面を見てきた中では、その基本が出来ていない人が結構いるように思います。

だから文字記入の最初に、ちょっと基本的な話を書いてみた訳です。

今回はもう少しだけ、図面内の文字とか見やすい図面などについて書いてみたいと思います。


■自分で作図する際に

私も自分で図面を描くときには、文字が入らないから記入するのをヤメたくなる場面があったりします。

細かい図面を描く時はスケールが小さくなるので、文字が入らない心配はあまりないものです。

でも、建築系の図面で言えば、一般図の平面図などで文字が入らない状況に遭遇します。

建物の規模によって違いますけど、その建物の1フロアを1枚の図面に納める平面図だと、縮尺が1/200とかになります。

そうなると2.5mmの文字はかなり巨大になって、小さな部屋よりも文字の方が大きくなったりします。

だから文字が読めない、もしくは非常に読みにくい図面というのは、何となく気持ちが分かるんですよね。

そういうのって、文字がきちんと読めるようにするのに、細かい調整が必要になって結構時間がかかるんです。

忙しくて残り時間が少ない時に図面を描いていると、そんな調整をする時間がとれないこともある訳です。

まあこれは全然自慢できない話ですけど。

そのあたりを考えると、元々いい加減な人が適当な図面の描き方をするのではなく、時間に追われてそうなることが多いのかも知れません。

だからと言ってそれが許される訳じゃないですけど、原因はやっぱり時間とコストにあるのかな、という気がします。

時間とコストをかければ、間違いの少ない完成度の高い図面が出来上がるんですけど、それを簡単に許さない状況もあるんですよね。

 

■見てすぐに分かるクオリティ

そうした事情で作図された、著しく完成度が低い図面というのは、もう見るだけですぐに分かります。

これはちょっとないだろうに……と思わせるような図面です。

確かに少しは「時間がないからね」と思うところもありますし、人間がやることですからミスがあるのは当然です。

でもそれにも限度があって、文字が重なりまくっている図面とか、間違いだらけの図面とかを見るともうイヤになります。

まあこれは誰だってそうですよね。

作図を依頼する側の企業としては、基本的に作図のプロに仕事を依頼したと思っている訳です。

だから、素人みたいに「時間がなくって」とか言われると、ちょっと残念な気分になってしまうんです。

もちろん図面を納品するメールで「今回は時間がなくて精度が良くない図面ですが……」みたいなことは書いてありません。

でも、作図された図面を見ると、メールの文章よりも雄弁に図面が語っていることが結構あります。

ここは面倒臭いから適当に描きました、とか。

よく分からなかったから作図しませんでした、とか。

まあこれは私自身にも言える話ですから、自分でも気をつけなければいけないところなんですけど。