前回はちょっと余分な話もありつつ、昔の環境では実現出来なかったカラーの図面について少し考えてみました。
昔は実際にシャープペンシルで「描いて」いたんですが、今はインクジェットプリンタでサッと出てくるだけ。
スピードとしては申し分ないとは思いますけど、一生懸命ペンプロッタが頑張っていた時代も懐かしいですね。
まあ実際に今仕事で使ったとしたら、もう全然遅く感じてイライラしっぱなしだとは思いますけど……
歳をとってくると、こうして昔のことが少しずつ美化されていくものなんでしょうかね。
と、そんな話はさておき。
今の環境であれば、コストの問題も含めて、カラー印刷はかなり現実的な手段として存在しています。
図面を描くプロであれば、今現在取ることが出来る選択肢は全部考えておきたいものです。
そういう意味では、カラー印刷を前提とした図面を描くことは、かなり現実的な話ではないかと思うんです。
今回はそのあたりの「カラー印刷は使うべきなのか」というテーマを、色々と考えてみたいと思います。
■カラー印刷を使うべきか
印刷した図面が見やすいかどうか。
これだけを比較すると、もう結論は分かり切っていますけど、カラーを使った方が図面は断然見やすいです。
目立たせたい部分を赤で印刷してみたり、ゾーニングをする場合にカラーを使ったりとか。
これは作図する側の工夫次第ですけど、カラーを使うと図面を見る側に分かりやすく情報を発信することが出来ます。
これは素晴らしいメリットだと思います。
表現の選択肢が多くなる訳ですから、モノクロの図面とカラーを交えた図面の差はもう圧倒的と言っても良いくらい。
白黒テレビとカラーテレビくらいの性能差があるんじゃないか、と、全然普通の例えですがそう感じます。
そして当サイトのテーマは、サイトのタイトルそのままですが、「見やすい図面の描き方」
どちらの図面が見やすいかだけを考えれば、絶対にカラーありの方が有利だということに間違いはありません。
そう考えると、当サイトではカラー印刷をお勧めしていく、という流れが正解なのかも知れません。
■カラー印刷の問題点
ただし、カラー印刷を前提にして図面を描くことが、必ずしも良いことばっかりという訳でもないんです。
ひとつはコストの問題。
いくら安価になってきたとは言え、図面を毎回カラーで印刷又はカラーコピーすると、さすがにコストがかさんで来ます。
今現在、A3複合機でカラー印刷をする際の値段は、1枚15円程度が相場ではないかと思います。
仕事で使うから仕方がないとは言え、100枚コピーなどする時にはいつも合計金額が気になってしまいます。
そしてもうひとつの問題が、カラーで印刷しないと分からない図面になる可能性が高い、という点。
モノクロで印刷をすると、図面を見る側に全ての情報が伝わらない図面になってしまう訳です。
確かにカラーで印刷をすれば、図面に描かれている情報をより分かりやすく伝えることが出来ます。
これは素晴らしいことではあります。
しかし逆に、カラーを使わないと伝わらない情報がある、という状態になるのは大きな問題です。
モノクロで図面を見た人には分からない訳ですから、そこが間違いの元になってしまうんですよね。
それならば、モノクロで印刷することを前提にして図面を描いていく方が、まだマシなんじゃないか。
私はいつもそう思ってしまうんです。
カラーを使った図面は確かに分かりやすいんですけど、そうした問題があることを知った上で使った方が良いと思います。